
震災からの新生−コンサルの貢献
(2011年6月16日木曜日 建設通信新聞3面)(転載許可取得済み)
「放射能を独自にモニタリングしている」。田畑日出男いであ会長は、福島第一原発の事故で放射能がどの程度拡散しているのか、自社研究などのために調べていると述べた。福島以外でも事故が起きたときに備え、高精度な拡散予測モデルをつくるのに、モニタリングデータが必要なためだ。陸上は4カ所、海域は沿岸部で3カ所の計7カ所で定期的に調査している。
陸上の4カ所には、雨を捕集する独自開発の装置を東北支店(仙台市)の屋上などに設置、雨の中の放射能量を測定している。これまで、過去に行われてきた核実験を始め、チェルノブイリやスリーマイル島の原発事故の際に放出された放射能は日本にいつ、どの程度の影響が現れたのかについて、海や湖の底質中の放射能測定で確認している。
大腸菌、重金属など5県でモニタリング
環境省から5月、青森県から茨城県まで5県を対象に、河川と海域が235地点、地下水が約200カ所で、環境面のモニタリング業務を受託した。大腸菌、重金属類、PCB、農薬、ダイオキシン類など環境基準が決まっているものを対象に調べている。
河川関係は、東北支店を主体に旧北上川などに対応しているほか、利根川、霞ヶ浦、那珂川、久慈川は全社的に対応している。ソフト面は予警報システムの構築や治水計画、ハード面は被災した堤防など構造物の復旧に取り組んでいる。
道路・橋梁関係は、震災直後から全社支援体制を構築、橋梁・法面の緊急調査などで東北支店をサポートしている。また、同社が設計した新北上大橋(宮城県石巻市)の2連の橋桁が津波で流されたため、被災のメカニズムを究明して補修・補強設計に反映するほか、防災機能を備えた道路計画での貢献を考えている。
製鋼スラグ使い藻場、漁場再生
港湾・漁港関係では、釜石港湾口防波堤の被災メカニズムの解明と対策検討、被災各県の港湾や漁港施設の調査、復旧設計に取り組んでいる。同社が得意とする環境分野は、被害が大きかった水産業の復興に向け、製鋼スラグを使った藻場(もば)や漁場の再生、生態系への影響の継続的なモニタリングを水産庁や地方自治体に提案している。
防災の技術開発は従来から進めているが、豪雨や洪水に対し計測データを使ったきめ細かい予測システムの開発、ICチップを活用した橋梁など構造物の点検技術に従来以上に力を入れる。
東北支店は約50人の陣容で、足りない分は週単位、月単位で応援の技術者を送り込んでいる。全社で対応するため、支店自体の人員を補強する予定はいまのところない。
田畑会長は「環境部門と建設部門を融合したプロジェクトチームをつくれば、さらに効果的なことができる」と強調、“オールいであ”で挑む方針だ。
[新聞記事をみる(写真:橋桁が流された新北上大橋)(PDF)]
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