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技術資料

排水の生物応答試験(日本版WET)

排水採取の計画策定から信頼性の高い生物試験の実施まで、
生物応答による新しい排水管理をお手伝いします。

「生物に対する影響」に着目した新しい排水管理

環境中に排出された多種多様な化学物質が、複合的に水生生物に悪影響を及ぼすことが懸念されています。私たちの身の回りで使われている化学物質は数万種とも言われていますが、環境中に排出される化学物質は、排水基準などにより一部が規制、管理されているにすぎません。

そこで、現行の濃度規制による排水管理を補完する新たな方法として、生物応答試験を用いることが環境省で検討されています。生物応答試験により排水中のすべての化学物質を、それらの相互作用も含めた総体的な影響として評価できます。欧米諸国での先行事例※を踏まえ、藻類、甲殻類、魚類の3生物種の生物応答試験が検討されています。

(※米国では「Whole Effluent Toxicity: WET」という生物応答を用いた排水管理制度が1995年から運用されています。)

排水採取から生物応答試験まで最適な試験計画で実施

環境省の排水(環境水)管理のバイオアッセイ技術検討分科会による「生物応答を用いた排水試験法(検討案)(2013)」に準拠して試験を行います。

  1. 排水採取
    水質や流量の変動などを考慮して最適な排水の採取計画を提案します。
  2. 輸送
    排水の変質を最小限にとどめる適切な輸送方法で実施します。
  3. 生物応答試験
    的確な精度管理のもとで信頼性の高い生物応答試験を実施します。
排水採取から生物応答試験までの流れ

排水管理支援

  • 定期的に生物応答試験を実施し、生物に対する影響のモニタリングを支援します。
  • 生物に対する影響があった場合、原因の同定や改善策を提案します。

生物応答試験

淡水藻類を用いる生長阻害試験

  • ムレミカヅキモ

試験生物はムレミカヅキモが推奨されています。

排水を含む培地で藻類を3日間培養して生長速度を調べます。排水で試験した結果と対照区の結果を比較し、藻類の増殖に対して影響がない排水濃度を求めます。

(*対照区:試験結果を検証するための比較対象。試験溶液として排水を含まない培地または飼育水を使用。)

ニセネコゼミジンコを用いるミジンコ繁殖試験

  • ニセネコゼミジンコ

試験生物はニセネコゼミジンコが推奨されています。

排水を含む飼育水で生後24時間以内のミジンコの幼体を最大8日間飼育し、死亡数と成長したミジンコが産んだ幼体の数を観察します。排水で試験した結果と対照区の結果を比較し、ミジンコ類の繁殖に対して影響がない排水濃度を求めます。

胚・仔魚期の魚類を用いる短期毒性試験

試験生物はゼブラフィッシュまたはメダカが推奨されています。

排水を含む飼育水で受精後4時間以内の受精卵(胚)を培養し、ふ化日の5日後まで(ばく露開始から、ゼブラフィッシュでは8~10日間、メダカでは13~16日間)死亡数とふ化した仔魚数を観察します。排水で試験した結果と対照区の結果を比較し、胚期から仔魚期の魚類の生存とふ化に対して影響がない排水濃度を求めます。

ゼブラフィッシュ(左)・メダカ(右)

生物応答試験の適用例

  • CSR活動としての自主的な排水管理
  • 生物に対する影響を考慮した製品開発
  • 製造工程や使用する化学物質の変更による環境リスクの評価
  • 排水処理の改善策の検討
  • 下水処理場での受け入れ時の確認
  • 水質事故の予防
  • 医薬品の環境リスク評価
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